ビカクシダ胞子培養の記録|胞子から板付けまで766日の育成体験

ビカクシダを胞子から育て、板付けできるサイズになるまでに766日かかりました。

この記事では、ビカクシダ・リドレイの胞子を播いてから、発芽、前葉体、胞子体、スペーシング、鉢上げを経て、板付けするまでの過程を記録しています。

途中では、成長が止まったり、徒長したり、蒸れによって多くの株が枯れたりするなど、順調に進んだわけではありません。

実際に育てて分かった「うまくいかなかったこと」や、途中で変更した管理方法も含めて、766日間の経過をまとめました。

これからビカクシダの胞子培養を始める方が、成長の目安や失敗例を知るための参考になればと思います。

目次

この記事で分かること

  • ビカクシダを胞子から板付けまで育てた766日間の経過
  • 発芽・前葉体・胞子体が確認できた時期
  • スペーシングを行った株と行わなかった株の成長の違い
  • 胞子体の成長が悪かったときに行った対策
  • 蒸れによって多くの株が枯れた失敗例
  • 鉢上げ後に分かった、根の成長の重要性
  • 実際に育てて感じた、胞子培養で注意したいポイント

ビカクシダ胞子培養の全体の流れ【766日のタイムライン】

1日目
766日目

Day1 胞子播種
Day40 発芽
Day101 前葉体
Day149 胞子体
Day 237 スペーシング
Day701 鉢上げ
Day766 板付け

なぜビカクシダ胞子培養をやろうと思ったのか

約2000日目

ビカクシダ・リドレイを育ててみたいと思ったものの、当時は完成した株の価格が高く、初心者には難しい植物という印象がありました。

そんな中で、ビカクシダは胞子から増やせることを知りました。

完成した株を購入するのではなく、胞子から自分で育ててみたいと思い、胞子培養に挑戦することにしました。

当時は園芸経験も少なく、分からないことばかりでしたが、結果的に板付けまで766日かけて育てることができました。

2020年6月22日~ 胞子を播種

1日目(胞子を播いた直後)

最初に使用したのは、100円ショップで購入した透明の蓋付きタッパーと、酸度無調整のピートモスです。

できるだけ費用をかけず、身近にあるもので始めました。

当時は胞子培養の経験がなかったため、培地の湿らせ方や胞子を播く量なども手探りでした。

最初の培養で分かったこと

この方法で育ててみて、いくつか改善したい点が見つかりました。

特に問題だったのが、培地を湿らせる際に水分が多くなりやすかったことです。

霧吹きの回数が増えると、容器の底に水が溜まりやすくなり、結果としてカビが発生しやすい状態になりました。

さらに、培地が酸性になってしまったために発芽やその後の成長が遅くなってしまったと思います。

後から振り返ると、培地の状態もその後の成長に影響したと考えています。

最初から完璧な方法で始められたわけではなく、実際に育てながら管理方法を見直していきました。

2020年7月31日~播種から40日で発芽

40日目(よく見ると緑色に!)

播種から40日ほど経過したところで、培地の表面に緑色のものが見えるようになりました。

当初はコケなど別のものではないかとも思いましたが、その後の成長を観察していくことで、胞子から発生したものだと確認できました。

今回の記録では、播種から約40日で発芽を確認しました。

ただし、発芽までの期間は胞子の状態や温度、湿度などの環境によって変わるため、40日という数字はあくまで今回の実例として参考にしてください。

2020年9月30日~前葉体が確認できるようになる

101日目(小さな前葉体)
118日目(肉眼でもくっきり見えるようになった)

播種からしばらくして、培地の表面に小さな前葉体がポツポツと現れ始めました。

最初は気づくかどうかくらいの小さな変化でしたが、日を追うごとに確実に数が増え、少しずつ大きくなっていきます。

気づけばそれが広範囲に広がり、「ちゃんと育っている」という実感に変わっていきました。

この頃は、毎日のように容器をのぞき込んでは変化を確認するのが楽しみで、胞子培養の面白さにどんどん引き込まれていきました。

今回カビは出なかったが、別の培養ではカビやアオコ、謎の植物が発生した

今回の培養では、この段階でカビが発生することはありませんでした。

ただ、これはあくまで「たまたまうまくいったケース」です。

今までの胞子培養では、同じような環境でもカビが発生した時やアオコ、はたまた謎の植物に成長を邪魔されることもありました。

カビが生えた時の写真
ドロドロのアオコと謎の植物が発生した時の写真

特に前葉体が広がり始めるタイミングは、湿度が高く蒸れやすいため、カビなどが出やすい時期でもあります。

環境やタイミングによって結果が変わるため、常に観察と素早い対応が必要になります。

2020年11月17日~初めて胞子体を確認

149日目(初めて確認できた胞子体)

前葉体が広がってしばらくした頃、それまでとは明らかに違う形のものが見えるようになりました。

小さな葉のような形をしたものが、ポツポツと現れ始めます。

このとき初めて「これが胞子体か」と気づき、かなり嬉しかったのを覚えています。

それまでの変化とは違い、「植物として育っている」とはっきり実感できた瞬間でした。


どんどん増えていく楽しさ

200日目

胞子体が確認できてからは、一気に変化が分かりやすくなりました。

日が経つごとに数が増え、少しずつ大きくなっていきます。

毎日のように容器をのぞき込んでは成長を確認するのが楽しみで、この頃が一番ワクワクしていた時期だったと思います。


同じように育てても結果はバラバラだった

今回、いくつかの容器に分けて育てていましたが、すべてが順調に育ったわけではありませんでした。

中には、ひょろひょろと間延びしたような胞子体になってしまったものもありました。

同じタイミングで、同じような環境で育てているつもりでも、ここまで差が出ることに驚き「環境のわずかな違いで成長が変わる」ということを実感しました。


順調に見えた中で発生したトラブル(粘菌)

さらに、別の容器では粘菌が発生してしまいました。

培地の一部と容器の壁に黄色いゼリー状のものが現れ、「なんか変なものが出てきた」とかなり不安になったのを覚えています。

順調に進んでいると思っていたタイミングだっただけに、この変化には少し焦りました。


ここで感じたこと

この時期は、胞子体が増えていく楽しさを感じる一方で、

・うまく育つもの
・徒長してしまうもの
・トラブルが出るもの

と、同じように育てていても結果にばらつきが出始めたタイミングでもありました。

2021年2月13日~スペーシングを実施(237日目)

237日目(スペーシングをしてみた)

胞子体が増えてきたことで、株同士がかなり密集してきました。

そこで、一部の株をスペーシングして間隔を空けることにしました。

ただし、すべての株をスペーシングしたわけではありません。

スペーシングした株と、しなかった株を比較

その後の成長を観察すると、意外な結果になりました。

スペーシングした株は、葉が出ては枯れる状態を繰り返し、思ったように成長しませんでした。

一方、スペーシングせず密集した状態の株の中には、そのまま成長を続けるものもありました。

この結果から、私の今回の培養では、スペーシングを行えば必ず成長が良くなるとは限らないことが分かりました。

ただし、これは今回の環境での結果であり、スペーシングが不要という意味ではありません。

株の大きさや密集具合、光・温度・湿度などによって結果は変わると考えています。

この経験から、スペーシングだけを行うのではなく、株の状態と周囲の環境を合わせて判断することが重要だと感じました。

353日目(スペーシングしたもの)

一方で、スペーシングせずそのままにしていた容器の胞子体は、意外にも元気に育っているものもありました。

353日(スペーシングしなかったもの)

393日目|肥料とLEDライトを導入

393日目(LEDライトと肥料を使用)

成長が鈍くなったため、育成環境を見直しました。

この時期に行ったのは、

  • 固形肥料を与える
  • LEDライトを導入する

という2つの変更です。

その後、少しずつ成長が戻ってきたように感じました。

ただし、肥料とLEDライトのどちらが成長に影響したのかを個別に検証したわけではありません。

そのため、今回の経験だけで「肥料を与えれば成長する」「LEDを使えば成長する」とは言えませんが、環境を見直すきっかけにはなりました。

416日目(心なしか元気になった気が・・・)

435日目|日光に当てたことで蒸れが発生

435日目(蒸れてほとんどが枯れてしまいました)

成長を促したいと考え、容器を日光に当てるようにしました。

しかし、これが失敗でした。

容器内の温度が上がり、蒸れた状態になったことで、多くの胞子体がダメージを受け、そのまま枯れてしまいました。

それまでは「光を当てれば成長する」と単純に考えていましたが、実際には光だけでなく、容器内の温度や湿度も合わせて考える必要がありました。


それでも生き残った株たち

463日目(この頃くらいから成長が加速しはじめました)

厳しい環境の変化の中でも、生き残った胞子体もたくさんありました。

状態はバラバラでしたが、しっかりと成長を続けてみるみる大きくなってきました。

成長の要因はおそらく過ごしやすい気温になったからだと思います。

489日目
541日目(寒くなり色が黄色っぽくなりました)

再度スペーシングを行い、鉢上げサイズへ

618日目(ミズコケにスペーシングしました)

生き残った胞子体を中心に、改めてスペーシングを行いました。

用土が古くなってくると固まってしまって水やりをしても、ふんわりとなりませんでした。そのせいか根が思ったほど伸びていなかったため今回はミズコケを使用しました。

その結果、少しずつ安定して成長するようになり、最終的には鉢上げできるサイズまで育てることができました。


この経験から感じたこと

この一連の流れを通して感じたのは、

スペーシングは株を大きく育てるために必要な作業だということです。

ただ、実際にやってみて分かったのは、それだけではうまくいかないということでした。

光・温度・湿度・用土・肥料といった環境が合っていなければ、スペーシングをしても成長はしてくれません。

逆に環境が合っていれば、多少密集していても元気に育つこともありました。

「間隔を空けること」だけでなく、「環境を整えること」の重要性を強く実感した経験でした。

2022年5月23日~鉢上げ(701日目

701日(やっとここまで来ました)

苗が500円玉ほどのサイズになったため、鉢上げを行いました。

ここでもすべての株が順調に育ったわけではありません。

中には鉢上げ後に成長が止まったり、弱ってしまった株もありました。

鉢上げ後に分かったこと

後から株を確認すると、成長が悪かった株は根が十分に発達していないものが多くありました。

当時はミズコケで育てていた株を土へ植え替えましたが、今振り返ると、この変更も成長が悪くなった原因の一つだったと考えています。

土は乾燥すると固まりやすく、水やりをしても水分が戻りにくいことがありました。

一方、ミズコケは乾燥しても水を含ませれば戻しやすく、今回のような小さな株の管理では扱いやすいと感じました。

この経験から、鉢上げでは葉の大きさだけでなく、根が十分に育っているかを確認することが重要だと学びました。

今、同じサイズの株を鉢上げするのであれば、私はミズコケを使って管理します。

718日目

2022年7月27日~ 板付け|766日かかってたどり着たゴール

板付けできるサイズまで成長

胞子葉が出てきました。ここまで来たら、ついに板付けです。

カブトムシのような角が生えてきましした

播種から766日目、胞子から育てた株が板付けできるサイズまで成長しました。

発芽まで約40日、前葉体を経て、胞子体、スペーシング、鉢上げと段階を進め、約2年かけて板付けまでたどり着きました。

途中では、成長が止まったり、蒸れによって多くの株が枯れたり、鉢上げ後に弱ってしまったりと、順調なことばかりではありませんでした。

それでも最終的に板付けできる株まで育てることができました。

766日間育てて分かったのは、胞子培養では一つの方法にこだわるよりも、株の状態を観察しながら環境を調整していくことが重要だということです。


これから胞子培養を始める方へ

これから挑戦する方は、最初からうまくいかなくても大丈夫です。

初めは誰もが失敗を繰り返しながら、少しずつ進んできて今があります。

この記事の経験が、少しでも参考になれば嬉しいです。

766日間の胞子培養で経験した失敗と分かったこと

ビカクシダを胞子から育てていると、成長が順調に進むことばかりではありません。

今回の766日間の胞子培養でも、カビや徒長、蒸れによる枯れ、スペーシング後の成長不良、鉢上げ後の成長停滞など、いくつかの失敗を経験しました。

ここでは、それぞれの失敗と、その後の管理を通して分かったことをまとめます。

カビが発生した

胞子培養カビ

胞子を播いた直後は、培地を乾燥させないように水分を保っていました。

しかし、水分が多い状態が続くとカビが発生しやすくなりました。

胞子培養では湿度を保つことが重要ですが、単純に水分を多くすればいいわけではありません。

培地の状態を確認しながら、過湿にならないように管理する必要があると感じました。

胞子体が徒長した

胞子培養徒長

胞子体が成長していく中で、細く長く伸びる株もありました。

当時は成長していること自体を喜んでいましたが、後から見ると、光などの育成環境も見直す必要があったと思います。

胞子体が細く伸びている場合は、単純に水や肥料を増やすのではなく、光量などを含めて環境を確認することが大切だと感じました。

日光に当てたことで蒸れて、多くの株が枯れた

成長を促すために、培養容器を日光に当てるようにした時期がありました。

ところが、容器内の温度が上がり、蒸れた状態になったことで、多くの胞子体がダメージを受けて枯れてしまいました。

この経験から、光を増やすことだけを考えるのではなく、光を強くしたことで容器内の温度や湿度がどのように変化するのかも確認する必要があると分かりました。

特に密閉に近い容器で管理している場合は、直射日光による急激な温度上昇には注意が必要です。

スペーシングした株の成長が思うように進まなかった

胞子体が増えて株同士が密集してきたため、一部の株をスペーシングして間隔を空けました。

しかし、スペーシングした株は葉が出ては枯れる状態を繰り返し、思ったように成長しませんでした。

一方で、スペーシングを行わず、ある程度密集した状態の株の中には、そのまま成長を続けるものもありました。

この結果から、今回の環境では、スペーシングを行えば必ず成長が良くなるとは限らないことが分かりました。

もちろん、これは今回の栽培環境での結果です。

株の大きさや密集具合、温度、湿度、光などによって結果は変わると考えています。

スペーシングを行う場合も、単純に株同士を離すだけではなく、その後の環境まで考えて判断することが重要だと感じました。

鉢上げ後に成長が止まる株があった

株がある程度の大きさになったため、鉢上げを行いました。

しかし、鉢上げ後に成長が鈍くなったり、弱ってしまった株もありました。

後から確認すると、成長が悪かった株では根が十分に発達していないものもありました。

当時はミズゴケで育てていた株を土へ植え替えましたが、今振り返ると、根が十分に育っていない小さな株にとっては、植え替えによる環境の変化が大きかった可能性があります。

この経験から、鉢上げでは葉の大きさだけで判断するのではなく、根の状態も確認することが大切だと感じました。

ビカクシダ胞子培養でよくある質問

胞子培養はどれくらい時間がかかる?

ビカクシダの胞子培養は、想像以上に時間がかかります。

自分の場合は、胞子を播いてから板付けできるサイズになるまでに約766日かかりました。

もちろん環境や管理方法によって前後はありますが、

・発芽まで数週間〜数ヶ月
・前葉体から胞子体までさらに数ヶ月
・そこから成長して鉢上げ・板付けまで1年以上

といったように、長期戦になるケースがほとんどです。

途中で成長が止まったように感じる期間もあり、すぐに結果が出るものではありません。

ただ、その分、少しずつ成長していく過程を長く楽しめるのも胞子培養の魅力だと感じています。


初心者でもビカクシダの胞子培養はできる?

私自身、園芸経験が少ない状態からビカクシダの胞子培養を始め、最終的に板付けまで育てることができました。

ただ、766日間の途中では、カビや徒長、蒸れによる枯れ、鉢上げ後の成長不良など、さまざまな失敗を経験しています。

胞子から板付けできるサイズまで育てるには時間もかかり、決して簡単なことではありません。

それでも、胞子から少しずつ成長していく様子を観察するのは、完成した株を購入するのとは違った楽しさがあります。

最初から完璧に育てる必要はありません。私自身も失敗を繰り返しながら、株の状態を見て管理方法を変えていきました。

これから胞子培養を始めてみたい方は、時間はかかりますが、ぜひ気軽に挑戦してみてください。

この記事の766日間の記録が、その挑戦の参考になればと思います。

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